外壁塗装の塗料の種類はどう選ぶ?塗装のプロが徹底解説

外壁塗装の塗料の種類は非常に多く、初めての外壁塗装となると、いったいどんな塗料を選ぶべきか分からず困っているという人も多いのではないでしょうか?
外壁塗装で失敗しないためには、塗料の種類と特徴を知り、どのように選ぶべきかを知ることが大切です。
この記事では、一般的な外壁塗装の塗料の種類とその特徴、さらに塗料の選び方について説明していきたいと思います。
1.塗料の種類と耐用年数
外壁塗装の塗料はグレードによって耐用年数や価格が違います。現在、外壁塗装の塗料は大きく分けて4つに分かれており、耐用年数が長いほど価格も高くなります。
樹脂の種類による血合い
外壁塗装に使われている塗料は主に合成樹脂塗料となっています。
主な樹脂の種類で分類した場合、次の4種類に分かれます。
1. ウレタン塗料
2. シリコン塗料
3. フッ素塗料
4. 無機系塗料
それぞれの耐用年数と特徴を詳しく見ていきましょう。
1. ウレタン塗料
【耐用年数】 6~8年
・耐用年数が短いため、こまめに塗り替える必要がある
・汚れやすい
・紫外線に弱い
・湿気を通しやすい
・木部、塩ビ製雨樋などの細部の塗装に適している
2. シリコン・ハイブリット塗料
【耐用年数】10~12年
・汚れがつきにくい
・色褪せしづらい
・耐候性・耐水性・耐薬性・耐油性に優れている
3. フッ素塗料
【耐用年数】 15~18年
・耐候性が高く、頻繁に塗り替える必要がない
・紫外線に強く、艶を保持し長持ちする
・変色しにくい
・特に劣化速度の速い屋根の塗装におすすめ
・超低汚染性なので汚れにくい
4. 無機系ハイブリット塗料
【耐用年数】18~20年
・4種類の中で最も耐用年数が長い
・超耐久性、超低汚染性と全てに優れている
・優れた難熱性もある
・透湿性があるため塗膜の膨れ、剥離仰制する
塗料の性質による違い
外壁塗装には4種類の樹脂の種類によるグレードがあることがお分かりいただけたかと思いますが、外壁塗装の塗料は性質によって次の2種類に分けられるという点も非常に大切です。
1. 水性塗料
2. 油性塗料
塗料は樹脂・顔料・溶剤の3つの成分からできています。
※場合によってはこれら3つの成分に添加剤が加わります
・樹脂・・・塗膜の主要素
・顔料・・・水・油・溶剤などに溶けず、塗料の色を左右する成分
・溶剤・・・樹脂の溶解に使われる
この3つの成分の中の溶剤の違いで水性塗料と油性塗料に分類されます。
1. 水性塗料
・環境に優しい
2. 油性塗料
・シンナー
※さらにシンナーの種類によっても油性塗料は2つに分類されます。
・塗料用シンナーで薄めるもの・・・弱溶剤塗料
・ラッカーシンナーで薄めるもの・・・強溶剤塗料(現在はほとんど使われていません)
・水性より光沢に優れている
水性塗料・油性塗料ともに、〈ウレタン<シリコン・ハイブリット<フッ素<無機系〉のグレードがあります。
塗料の艶による違い
外壁塗装の塗料は、艶によって次の5種類に分類されます。
1. 艶消し(フッ素・無機系はありません)
2. 3分艶
3. 5分艶
4. 7分艶
5. 艶あり
艶あり・艶消しそれぞれの特徴を見ていきましょう。
艶あり | ・新築のような見た目に仕上がる |
---|---|
・塗り替えた感が強い | |
・艶がありすぎると上品さが下がる | |
・3分艶・5分艶などの控え目の艶は高級感が出る | |
・防水性が高く汚れがつきにくい | |
・耐久性に優れている | |
艶消し | ・落ち着いた仕上がりになる |
・塗り替えた感は弱い | |
・艶ありに比べると汚れやすい | |
・艶ありに比べると耐久性は低い | |
・艶消し添加剤を使った塗料は塗料の本来の性能を発揮できない |
艶ありの塗料を使用しても、年月が経てば徐々に艶はなくなり、艶消しに近い状態になります。
通常はその状態になるまで8年くらいかかると言われています。
艶消し塗料を使う場合は艶消し専用塗料をお勧めします。
艶あり塗料の艶を落とす場合は5分艶までをお勧めします。
塗料の混ぜ方による違い
外壁塗装の塗料には塗料の混ぜ方によって次の2種類に分類されます。
1.1液型
2.2液型
1.1液型
ひとつの塗料缶に入っているものをそのまま使えるタイプ(水やシンナーで薄めて使う)
・2液型に比べ艶が劣る
2.2液型
ベースの主剤に硬化剤を混ぜて使うタイプで2缶に分かれている
・混合比率に注意して混ぜる必要がある
・混ぜ合わせたらすぐに使う必要がある(作り置きは不可)
1液型 | 2液型 | |
---|---|---|
価格 | ◎(塗料による) | ◎(塗料による) |
耐久性 | ◎ | ◎ |
手間 | ◎ | ○ |
消費期限 | ◎ | ○ |
塗装箇所 | ◎ | ◎ |
作り置き | ○ | × |
性能の良さで言えば2液型、扱いやすさで言えば1液型だと言えるでしょう。
信頼のできる職人さんに塗装をお願いできるならば、2液型の方がおすすめです。
最新の付加機能
外壁塗装の塗料には、様々な付加機能を加えた塗料があります。
◆ラジカル制御
これは、日本ペイントが開発した新技術で、塗料のチョーキングを抑える技術のことです。
・耐用年数はシリコンよりも優れている(11~13年)
・価格はフッ素塗料よりも大分安い
・高緻密無機シールド層によって、紫外線・酸素・水などの塗膜の劣化を防ぐ
・チョーキングが起きにくい
・変色しにくい
◆遮熱塗料
太陽の反射率を上げ、表面温度が上がらないようにする塗料で屋根塗装におすすめです。
特に室内温度の上がりやすい金属の屋根・2階にリビングのある家・3階建ての家などには効果的な付加機能です。
◆断熱塗料
夏涼しく、冬暖かく防音効果あり。快適な住空間をお望み方にお勧めです。
耐用年数15年
◆セラミック
耐久性・耐熱性に優れている塗料です。
ただし、セラミック塗料には種類があり、耐用年数もそれぞれ異なります。
硬度が高いため、クラックが生じやすいデメリットもあります。
◆光触媒
太陽光で汚れを分解し雨で汚れを洗い流せる環境に優しい塗料です。
耐用年数は15~18年と汚れにくさは抜群です。
2.塗料の選び方について
塗料メーカーは数多くありますが、現在国内シェアの90%を占めているのは、日本ペイント、関西ペイントSK化研の3社です。
これら3社の塗料でグレードが同じ場合、性能や品質に変わりはないと言われていますので、塗料を選ぶ場合には、この3社の塗料を選べば間違いはないでしょう。
今人気の塗料
現在、圧倒的に人気を誇る塗料は、シリコン塗料です。
しかし、最近ではコストパフォーマンスに優れた高性能のラジカル塗料が発売されたことで、ラジカル塗料人気も高まっているようです。
塗料選びのポイント
では、実際に塗料を選ぶ場合、何を目安に選べばよいのでしょうか。外壁塗装の塗料を選ぶ際には、以下の4点のポイントに注意して選ぶことをおすすめします。
1.塗り替えサイクル
2.予算
3.自分の家の外壁材・屋根材に適しているか
4.特殊な付加機能が必要か否か
1. 塗り替えサイクル
外壁塗装は定期的に行う必要があります。使う塗料によって塗り替えサイクルも異なり、安い塗料を使用して1回の工事費を安く済ませられても、何度も塗り替える必要があり、結果的に工事費が高くなってしまう可能性がある点に注意しなければなりません。
・油性塗料
(最近は技術進歩で水性塗料の耐久性があがっているため、水性塗料が使われることが多い)
・艶あり(控え目な艶消しは高級感がある)
・2液型
ただ、耐用年数が長ければ安心というわけでもありません。
塗料の耐用年数はあくまで目安であり、家の立地条件・環境によっても変わってきます。
またいくら性能の良い塗料を使っても、職人の腕次第で本来の性能が発揮されない場合もあります。
本来の塗料の性能を発揮するためには、実績があり信頼のできる塗装会社を選ぶことが重要です。
2. 予算
塗料のグレードが上がればその分塗料の価格も高くなりますが、耐久性もよくなります。
長いスパンで考えた場合には、グレードの高い塗料を使った方がお得ではあります。
ただし、予算はそれぞれの家によって違うでしょうから、まずは外壁塗装の予算をはっきりさせることが重要です。
その上で、信頼のできる塗装業者に相談することをおすすめします。
3. 自分の家の外壁材・屋根材に適しているか
外壁・屋根の素材はそれぞれの家によって異なります。外壁・屋根の素材に応じて、適している塗料も変わってきます。
自分の家にあった塗料を選ぶことで、塗料本来の性能を発揮することができ、より家を長持ちさせることができます。また、木・コンクリート・鉄など塗装する素材によっても適している塗料は変わってきます。
塗装箇所に応じて適切な塗料を選ぶようにしましょう。(近年は万能タイプの塗料が多いです)
4. 特殊な付加機能が必要か否か
遮熱・断熱効果のある塗料、セルフクリーニング効果のある光触媒など、一般的に使われる塗料よりもさらに特別な付加機能を備えた塗料が次々とメーカーから開発されています。
まずは付加機能についてのメリット・デメリットをよく知り、必要かどうかをしっかりと検討しましょう。
営業マンの言うがままにイメージだけで塗料を決めることのないようにしましょう。
まとめ
以上、一般的な外壁塗装の塗料の種類とその特徴、さらに塗料の選び方についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
外壁塗装の塗料は、樹脂の種類・塗料の性質・塗料の艶・塗料の混ぜ方によって分類されており、より耐久性の高い塗料ほど価格も高くなりますが、そのぶんメンテナンスの間隔は長くなりトータルで考えるとお得だということを理解しておきたいですね。
また、塗料本来の性能を発揮するには、実際に塗装をする職人さんの質も重要だという点もポイントです。
仕上がりのイメージをしっかりと塗装業者に伝え、それに応じた塗料の提案をしてくれるような塗装業者選びが肝心です。